← 戻る · ← ホーム · ← 一覧に戻る

[EAI特別企画論評] 安倍晋三再登板後の日本と朝鮮半島 (1): 安倍氏の政治的成功を見る日韓の視座

カテゴリー
論評・イシューブリーフィング
発行日
2020年6月5日
EAI企画論評シリーズ_安倍再登板後日韓関係1.pdf
EAI企画論評シリーズ_安倍再登板後日韓関係1.pdf

[編集者注]

9月20日に実施された与党・自民党総裁選で、安倍晋三首相が3選を果たしました。これにより、よほどのことがない限り、安倍首相は2021年9月まで首相職を続ける見通しです。2019年11月には、安倍首相は日本の歴代最長寿首相という記録まで打ち立てることになります。これを受け、EAIは安倍首相の長期政権の要因を分析し、今後の日本と朝鮮半島の未来を展望するため、「安倍晋三再登板後の日本と朝鮮半島」という特別論評シリーズを企画しました。今回の論評は、そのシリーズの第一弾として、イ・ジョンファン(ソウル大学教授)と深川由起子(早稲田大学教授)が執筆陣として参加し、安倍氏の政治的成功を日韓両国の視点から分析しています。両著者の見解によれば、安倍首相の再登板成功は、野党の分裂、日本の景気好調、安倍政権の外交成果、自民党内の議員の行動様式、そして強力な指導者に対する処罰の可能性への恐れなどが複合的に作用した結果と見られます。ただし、様々な国内・国際的な変数により、安倍首相が在任期間である2021年まで「有終の美」を飾れるかは未知数だと両著者は評価しています。


安倍自民党の長期政権要因

イ・ジョンファン ソウル大学教授

はじめに

安倍晋三首相は2018年9月20日に行われた自民党総裁選で、石破茂元幹事長を破り3選を果たした。2021年9月まで予定されている3年間の総裁任期は、2017年10月の第48回衆議院議員総選挙の結果により構成された衆議院が解散なしに4年間継続された場合の時点と一致する。今回の総裁選での安倍首相の勝利は、「安倍一強」に象徴される現在の日本政治の状況を代弁している。しかし、総得票数810票のうち68.3%に相当する553票を得たという事実自体が、「安倍一強」の本質を示すものではない。今回の総裁選で安倍氏が3期目への挑戦を可能にするために党規を改正した2017年3月5日の自民党大会こそが、「安倍一強」の現象を象徴すると見ることができる。当時、自民党は2016年10月に党内機構である党政治制度改革実行本部で提言された総裁任期に関する党規改正を最終決定し、その案は従来の「連続2期6年」から「連続3期9年」へと総裁任期を延長するものであった。2018年9月の総裁選の結果は、2017年3月の党大会で既に予見されていたのである。

民主党政権が提供した機会

安倍氏を首相に据えなかったとしても、2012年12月の衆議院選挙以降、自民党政権が長期化するという観測は広く受け入れられていた。まず、2009年から3年間政権を担った民主党政権は、非自民政治勢力の政治的基盤が浸食される契機となった。また、民主党政権は自民党内の政策志向における多様性を矮小化させ、保守的な社会改革への収斂を招いた。最後に、社会的な側面において、民主党政権に対する失望は、民主党が政権を獲得する上で主要な核心勢力として作用した非自民支持層の政治参加を縮小させた。

3年間の民主党政権は、民主党の分裂と2012年衆議院選挙での壊滅的な敗北をもって幕を閉じた。小泉純一郎政権の新自由主義的改革がもたらした格差問題を軸に自民党と政策対立軸を構築し、政権獲得に成功した民主党政権は、消費税増税やTPP加盟といった懸案を中心に分裂の過程を経験した。自民党への反対を除いて、国家アイデンティティや国内外政策において政策の一致感が非常に低かった民主党は、党内構成員をまとめ上げる政治的指導力を欠いていた。

2012年に政権を失った後、民主党は安倍自民党との政策対立軸を構築することは言うまでもなく、第一野党としての確固たる地位を維持することさえできなかった。2012年選挙で議席57を確保し、54議席を獲得した日本維新の会を辛うじて退けて第一野党の座を守ったが、当時の比例代表得票率では日本維新の会より300万票も少ない票を獲得した。続いて2014年衆議院選挙では73議席を獲得したが、自民・公明連立与党の326議席に比べると著しい差を見せる結果であった。海江田万里氏の後を継ぎ2015年1月に民主党代表に就任した岡田克也氏は、2015年に維新の党の一部と連携して2016年3月に民進党を発足させた。2016年9月、民進党の枠組みの中で初めて行われた代表選挙を経て発足した蓮舫代表体制は、野党間の選挙協力に関して内部対立を露呈した。2017年に入ると、脱原発政策路線を党論としようとする蓮舫指導部の努力は、民進党の核心支持団体である連合と不協和音を生じさせた。脱原発で安倍氏率いる自民党との差別化を図ろうとした民進党の努力は成功しなかった。一方、2017年7月の東京都議会選挙で大敗した後、新たに構成された前原誠司指導部は、2017年秋に衆議院が解散され総選挙が行われる過程で、小池百合子東京都知事の人気を活用するため、民進党を解体し小池知事が率いる希望の党へ吸収合併される選択をした。これに反対する勢力が枝野幸男氏を中心に立憲民主党を創党し、2017年10月の衆議院選挙で民進党は希望の党と立憲民主党に分裂した。保守二大政党制を構築するという期待とは裏腹に、反自民を代表する政治勢力は、自民党に対抗する能力も、明確な立場も示せなかった。

このような民主党の分裂は、自民党内の多様な政治路線が収斂される契機を提供した。2000年代の小泉政権下でも、自民党内には国家アイデンティティ、靖国神社参拝、北朝鮮による拉致問題などを中心に、保守リベラルと強硬保守との間の対立構図が存在した。2000年代の強硬保守を代表する安倍氏は、小泉政権下で自民党幹事長として在任中、党内に基本理念委員会を設置し、自民党の国家観を確立し、それを憲法改正や教育基本法改正の根幹としようとした。彼は憲法改正や教育基本法改正を中心とする「草食系保守」の結集路線を追求した。安倍氏の「草食系保守」路線は、小泉氏の新自由主義的改革路線とは異なり、伝統主義的価値観に基づいた強硬保守的性格を帯びていた。しかし、安倍氏の強硬保守路線とは異なり、護憲的立場から憲法改正問題を扱い、対アジア融和路線を守ろうとする保守リベラル勢力は、安倍氏の強硬保守的色彩が自民党内の政策路線を掌握することを制約する力を持っていた。彼らは2006年の自民党総裁選で靖国神社参拝を争点化して首相になった安倍氏が、1年間の在任期間中に靖国神社参拝をせず、大衆融和路線を選択する背景となった。また、自民党が2005年に確定した「新憲法草案」にも、安倍氏らが主張した伝統主義的保守的色彩が盛り込まれないよう影響力を行使した。2000年代後半、安倍氏は自民党内の勢力分布について次のように発言した。「自民党内の私のような本当の保守が約20%、加藤紘一氏のようなリベラルな人材が12~3%、残りは時流に乗る者だ」。しかし、2009年衆議院選挙での自民党の大敗は、自民党内の保守リベラルと強硬保守との対立構図に変化をもたらした。自民党内では、小泉氏が主導した新自由主義改革に対する否定的な見解とともに、創党精神に立ち返り真の保守のアイデンティティを探求すべきだという認識が広く共有された。野党となった後、総裁に選出された谷垣禎一氏は、2000年代半ばに見られたリベラルな色彩から脱却し、保守政党としての自民党のアイデンティティ確立という目標に従った。谷垣氏も時流に乗ったのである。野党時代の自民党の時流である保守政党アイデンティティ確立の内容は、安倍氏の伝統主義的価値観で満たされた。安倍氏に代表される強硬保守勢力は、保守政党アイデンティティ確立目標に対する自民党内の流れの中で、2005年の「新憲法草案」に盛り込めなかった内容を、2012年に党論として確定した「日本国憲法改正草案」に盛り込むことに成功した。この草案を最終的に承認した当時の総裁が、加藤紘一氏の派閥継承者として保守リベラル勢力と見なされていた谷垣氏であったという点で意義がある。民主党政権下で野党へと転身する中で、自民党内部的には強硬保守的な色彩がより広く受け入れられるようになったのである。

民主党政権に対する失望の中で、日本社会における選挙参加からの離脱は、自民党政権が維持される強力な要因となった。2012年以降、民主党政権を生み出した反自民性向の有権者が選挙に参加しないという様相が観察された。2009年、2012年、2014年、2017年の衆議院選挙で比較的一貫して持続した指標は、自民党の比例代表得票数である。自民党は4回の選挙でそれぞれ18,810,217票(2009年)、16,624,457票(2012年)、17,658,916票(2014年)、18,555,711票(2017年)を獲得した。比例代表得票数を見ると、自民党が勝利した2012年以降の選挙で、自民党の得票数が増加していないことがわかる。逆説的にも、過去4回の衆議院選挙の中で自民党が唯一敗北した2009年選挙で、自民党が得た比例代表得票数が最も多かった。2009年選挙の比例代表投票で29,844,799票を獲得した民主党が、2012年には9,628,653票、2014年には9,775,991票と得票数が大きく落ち込み、衆議院比例代表選挙の結果が変わった。比例代表総得票数が象徴するのは、自民党が大敗・大勝を収めるにあたり、自民党に対する日本社会全体の支持が大きく変わらなかったということである。一方、自民党に対する安定した投票結果とは異なり、民主党に期待を抱いて2009年選挙に参加した多くの有権者は、2012年以降、政治参加を敬遠する傾向にあることを示している。ただし、注目すべき点は、2017年衆議院選挙で立憲民主党が11,084,890票を獲得し、相対的に高い比例代表得票率を示し、希望の党が獲得した9,677,524票を合わせると、民進党にルーツを持つ両党の得票数が自民党より大きいことがわかる。これは、民主党政権以降の選挙で離脱していた反自民性向の有権者層が、政局の条件次第で再び選挙を通じた政治参加の可能性が全くないわけではないことを示している。

安倍政権の経済政策

日本社会における反自民性向の力が政党間の競争として構造化されていない中で、安倍政権は過去6年余りにわたり、世論調査で非常に高い水準の内閣支持率を維持してきた。2015年の安保法制通過や2017年の森友学園・加計学園などの私学スキャンダルを除けば、ほぼ一貫して40%以上の高い支持率を維持してきた。安倍政権の長期政権は、高い内閣支持率に基盤を置いているという点については異論がない。自民党が高い内閣支持率を維持している中で、反自民政治勢力の組織化は成功しなかった一方、自民党内では「安倍一強」に挑戦する気配も発見されていない。

安倍政権が高い支持率を享受できた背景として、成長率と雇用率に代表される景気条件の改善を挙げることができる。安倍政権はこれをアベノミクスの結果として宣伝してきており、今回の総裁選でも同様であった。しかし、アベノミクスの核心であった金融政策における量的緩和の推進が景気改善にどれほど貢献したかについては、議論の余地がある。もちろん、長期不況の中で設備投資に消極的だった日本企業の投資促進を誘導したという点では意義がある。しかし、アベノミクスの推進と高い雇用率という指標の間には、直接的なつながりが弱い。現在の日本の高い雇用率は、人口減少と高齢化という社会構造的変化に起因する側面が強いためである。もちろん、政策が景気条件の直接的な要因でなくとも、景気条件の好調さは、政権勢力に対して政治的に肯定的な影響をもたらす。

今回の総裁選で石破氏は、アベノミクスの成果が都市部、大企業中心に果実が還元され、地方や中小企業に波及しない点を強調した。総裁選への出馬を断念する前の岸田文雄政調会長も、このような問題を提起したことがある。このような主張は、自民党が戦後政治経済システムの中で継続的に遂行してきた再分配機能を想起させ、アベノミクスのトリクルダウンから排除された社会部分の支持を確保しようとする試みであった。しかし、安倍氏の経済政策は、小泉氏の新自由主義的改革とは異なり、社会的不満の政治化にはつながらなかった。安倍政権は、アベノミクスの第三の矢として構造改革を設定し、毎年日本再興戦略を策定している。しかし、安倍政権の構造改革路線は、再分配機能を弱体化させた小泉政権とは異なり、人口減少時代の持続可能性向上に焦点を合わせている。非効率性を除去するための構造改革路線は、政策的に具体化されておらず、景気改善のトリクルダウンから排除されうる社会部分に対する補償次元の財政措置も減らしていない。安倍政権下で非効率性除去の側面で最も顕著だった農業改革も、農協のガバナンス改革を中心に進められただけで、農業分野に対する財政措置は縮小されなかった。現政権下で財政健全化計画が継続して延期される理由は、安倍氏の政策基調が非効率的な社会部分に対する財政措置の縮小にないためである。

このような観点から見ると、今回の総裁選で安倍首相が「1年以内に生涯現役時代にふさわしい雇用制度を構築し、次の2年間で医療、年金など社会保障制度全般に対する改革を進める」という青写真を発表したことは、今後の安倍政権の経済政策が持つ政治的含意を展望する上で重要な参考事項となる。人口減少による日本の労働市場における供給不足は、これまで進められてきた女性労働参加促進などの労働改革では解消が困難な状況である。65歳以上の高齢者の労働市場参加を促進する計画と、それに伴う社会保障給付開始年齢の引き上げなどの政策を内包している安倍首相の発言は、受給者(特に65~70歳の間)にとっては個人負担の増加や給付の減少につながる可能性がある。このように予想される社会的な反発を、安倍政権が政治的な関心を避けながら管理できるかが注目される。

自民党議員の行動パターンと派閥構造

今回の総裁選で、自民党国会議員は圧倒的に安倍氏を支持した。安倍首相は405票中81%に相当する329票を得た。それにもかかわらず、石破氏が議員から予想より20票余り多い73票を獲得したことが、むしろニュースになった。80%を超える議員の支持が予想より少なかったということは、現在の自民党内における安倍氏の強力な権力を示している。安倍氏は6年前の2012年9月に行われた自民党総裁選の1次投票では、地方党員票で石破氏に遅れをとったものの、1次投票と2次投票で議員の支持を得て総裁に当選することができた。しかし、その時と比較しても、現在の自民党国会議員の安倍氏に対する支持は相当強化されたと見ることができる。

高い支持率を得ている首相に対する議員の支持傾向は、現選挙制度下では論理的に当然のことと見なされ、安倍氏の長期政権を理解する上で最も核心的な説明となる。しかし、議員の行動様式に対するこのような説明は、最近自民党内で再び強化されている派閥を考慮すると、自民党内における安倍氏支持の様相を理解する上で十分ではない。自身の当選に有利な高い人気を得ている首相/総裁を支持する議員の合理的な行動様式に基づく説明は、後援会、派閥、政務調査会など、自民党が1955年体制下で長年依存してきた制度の弱体化と、首相/総裁の地位強化が同時に予想されていたためである。しかし、今回の総裁選で見られるように、安倍首相が党内議員から票を集める方法は、複数の派閥からの支持確保に基づいている。特に今回の総裁選は、派閥構造の説明が含まれると説得力が増す。安倍政権の積極的な支持グループである細田派、麻生派、二階派に所属する議員数は、全体の405人中198人で49%に達する。様々な風評やスキャンダルにもかかわらず、麻生太郎氏が安倍政権発足以来現在まで副総理・財務大臣職を維持し、戦後最長の財務大臣記録を樹立したのは、現安倍政権における麻生氏の重要性を代弁している。安倍政権初期から安倍氏を積極的に支持してきた二階俊博氏は、2016年から幹事長として安倍政権の中心にいる人物である。「安倍一強」と言っても、主要派閥の連合という次元では、派閥構造上、安倍政権の安定性が発見される。もちろん、石破派を除いた他の派閥が安倍支持に帰結する過程では、議員の行動様式の説明が適合する。特に竹下派の指導部と参議院メンバーが派閥単位で石破氏を支持しようとしたが、衆議院議員の反発で実現しなかった点は、安倍政権に対する高い内閣支持率が議員の行動様式に影響を与えていることをよく示している。

興味深いのは、議員の合理的な行動様式に基づく説明が、首相/総裁の人気が自身の選挙に有利になるという仮定に基づいているが、事実上、自民党内の議員行動様式には、利益次元の論理だけでなく、処罰に対する不安感という心理が存在していることである。自民党内には今も、小泉氏が2005年の郵政選挙で見せた、反対議員に対する処罰の記憶が強く残っている。郵政選挙の記憶は、自民党議員たちに強力なリーダーシップに挑戦することをためらわせる要因となっている。野党時代に自民党構成員の政策選好が全般的に保守化したとはいえ、現在の自民党内における安倍氏への積極的な支持様相において、政策の一致感は核心的な要因ではない。自民党内の派閥の再強化は、強力な首相/総裁からの処罰の可能性への恐れの帰結かもしれない。もちろん、政策過程において安倍政権は、小泉政権に比べて党内事前審査制を積極的に活用している。同じ官邸主導の政策であっても、党をパスしていた小泉氏とは異なり、党内プロセスを尊重する様相を見せている。しかし、政策過程で党に積極的な役割を付与してはいるものの、首相官邸の主導の下で基本的なアジェンダ設定が行われており、それに対する党内での自由な意見表明も依然として容易ではない状況である。

おわりに

安倍氏が今後の3年間の任期を首相/総裁として最後まで維持できるかは分からないが、安倍政権が今後推進しようとする政策課題は、安倍自民党が長期継続できる複数の要因に変化をもたらす可能性が大きい。安倍氏が宿願としている憲法改正を推進する過程で、無力な野党と政治参加から離脱した日本社会が変化する可能性がある。また、今後進められる経済政策課題—量的緩和からの出口戦略、2019年秋の消費税率10%引き上げ、社会保障制度改革—が政治的にどのような含意を持って進められるか注目される。自民党の歴史を振り返ると、党は支持率の低い首相を下ろすという一貫した様相を見せてきた。憲法改正と経済政策を推進する過程で、安倍政権が政治的にこれをいかにうまく管理できるかが、安倍氏に対する自民党内の議員および派閥の態度を決定することになるだろう。■

■執筆:イ・ジョンファン_ソウル大学教授。米カリフォルニア大学バークレー校で政治学博士号を取得。主な研究分野は日本政治経済と日本外交である。


安倍政権の「有終の美」と朝鮮半島

深川由起子 早稲田大学教授

自民党総裁選が行われた9月20日、日本のニュースは選挙よりも南北首脳会談に関する議論で埋め尽くされていた。最後の任期を宣言して臨んだ安倍晋三首相の勝利は、ほぼ確実視されていたからだ。対抗馬である石破氏との間に極端な政策の違いも存在せず、安倍首相にとっての問題は、ただ「勝ち方」だけだった。前回の総裁選では国会議員ではないものの、地方党員票で石破氏が首相を上回ったからだ。しかし今回は、安倍首相が無効票を除いた国会議員票では402票中329票を、地方党員票でも405票中224票を獲得して勝利した。安倍政権は、政権が長期化するにつれて安倍首相を巡る相次ぐ疑惑にさらされたが、野党分裂に救われ、さらに今回は石破氏の挑戦と、大衆的な人気が高かった小泉進次郎氏(小泉元首相の次男)が「異論が許される政党でなければならない」と土壇場で石破氏を支持したことなどにより、むしろ長期政権の傲慢さに対する批判が緩和される幸運も得た。もし、今後安倍政権が任期を全うできなくても、自民党政権は継続する勢いである。

世界の多くの主要国が深刻な分裂と政治的対立を抱える中、最近まで安倍政権が安定していた理由は何か。端的に言えば、市場という相手がいる経済と、外国という相手がいる外交という二つの側面で、国民の満足度が比較的、高かったからである。内閣府が長年行っている調査で、「現在の生活に満足していますか」という質問に対する回答は、2018年7月現在、「大変満足」と「満足」の合計が75%を超え、2008年の60%だったのに比べて大幅に上昇した。18~29歳の若者の場合、その満足度は82%とさらに高く、これは40代以上の壮年層よりも高い数値であった。

経済的な側面では、第2次安倍政権が発足して以来、大胆な量的金融緩和と機動的な財政運営、民間主導の成長戦略という、いわゆる「アベノミクス」を掲げ、デフレと戦う道を選択した。その結果、欧米と比較しても極端な水準の量的緩和を推進し、何よりも先進国中最悪の財政を抱えながら、常に株価水準や長期金利といった市場の監視にさらされ始めた。過去最高益の行進が続いた大企業を除けば、迅速な成長戦略の中で国民が成功を実感するのは、5年間でほぼ3~4倍に増えた外国人観光客程度である。しかし、その需要が消費の向上だけでなく、地価の下落傾向の反転や中小企業の海外事業などにも少しずつ波及している一方、ベビーブーム世代の引退が本格化するにつれて、雇用不足と就業不安が解消され、社会に蔓延していた閉塞感の払拭につながった。

外交的にも、ほぼ毎年首相が交代した2006~2012年に比べ、政権が安定した中で、安倍政権はオリンピック招致の成功を皮切りに、日米同盟の強化、米国の政権交代で置き去りにされた環太平洋経済連携協定(TPP)の立て直し、日・EU・FTA締結、平和条約すら存在しない日露関係の見直し、凍り付いた日中関係の修復など、積極的な外交を展開した。外交に比較的関心の低い日本だが、国内政局の混乱に東日本大震災と原発事故まで重なり、国際社会での地位が失墜したり萎縮したりすることへの不満を抱いた国民の心理も徐々に改善された。人口の約2%とはいえ、急増する外国人労働者に対して比較的寛容な姿勢をとったことで、長年の懸案であった非正規雇用労働者の賃金がほんのわずかずつでも上昇に転じ、反グローバリズム運動が米国や欧州のように内政を揺るがさなかったことで、外交の自由度を支えることができた。

ただし、安倍政権が東京オリンピックを最後に「有終の美」を飾るという保証があるわけではない。デフレ脱却は曖昧な水準にとどまり、市場は技術革新の遅れとそれに伴う成長潜在力回復の遅延により、生産性改善の速度などに怒り始めた。表面的な貿易依存度は低いが、日本企業は米国と中国を含むアジアに長く深く複雑なサプライチェーンを構築している。米国ほど内需に頼ることもできない中で、世界二大市場間の貿易戦争の被害と不安も増大している。米国がTPP以上の農水産物開放を要求し、米・日FTA交渉が始まれば、かろうじて妥協点を見出した農水産部門保護政策が再燃しないだろうか?

外交分野も多事多難である。市場に追われている安倍政権だが、政治的価値観としては言うまでもなく憲法改正が中心である。電力不保有を確約したとはいえ、石破氏が批判したように、十分な国民の理解と支持を得たとはまだ言いがたい。憲法改正は、周辺外交に大きく左右される。不幸にも、日米同盟を基軸とした外交は、予測不可能なトランプ政権によって基準自体が揺らいでいる。中国の一帯一路への参加表明や北方領土を巡るロシアとの経済協力推進などでバランスを保ってきたが、海洋進出を強化する中国との安全保障関係には、いずれにせよ限界があり、ロシアと北朝鮮も米国の経済制裁が続く限り大胆に動くことは難しい。

最後に、それにもかかわらず「有終の美」を模索する安倍政権にとって、韓国と朝鮮半島はどのように映っているのだろうか。世界唯一の核爆撃被害国として、核兵器に対する日本のアレルギーは強烈である。政治家が北朝鮮に対抗するために核兵器開発などを発言した韓国とは全く異なり、日本には北朝鮮の核開発に対して、米国以上に強い不信と憎悪が存在する。南北間の和解へと急速に傾く韓国との温度差は、容易に縮まらないだろう。南北協力に関する韓国の視点がランドブリッジ構想やエネルギー協力のように大陸志向の性格を帯びているのに対し、日本はインド太平洋を巡る海洋を目指す傾向があり、ここでも方向性は異なるだろう。ただし、互いに感情論を排除し冷静に言えば、韓国と日本は共通の理解を持つ部分も多い。保護主義の蔓延は相当な共通の脅威であり、韓国と日本は巨大な内需市場を技術革新の実験場とする米国や中国のような成長構造も作れない。急速な高齢化で社会保障への負担増を避けることは困難だろうし、日本の農業や韓国の労働組合のような既得権層に手を出すことも難しいだろう。国家を単位とする政治的な側面では摩擦が多いとしても、地方や企業、個人という小さな単位で社会・経済を見ると、共通の利害関係は非常に多い。競争的な規制緩和、ITなど不足する専門人材の共有、WTOの維持・機能深化の図り方など、協力できる部分が多い。実務的な協力が積み重なり、互いの立場を明確にすれば、「有終の美」を目指す安倍外交にもより多くの機会を見出すことができるだろう。■

■執筆:深川 由起子(深川由起子)_早稲田大学政治経済学部教授。米エール大学で国際経済学修士号を取得後、日本の早稲田大学で博士課程を履修。主な研究分野は東アジアの発展と開発、および経済システムである。


[EAI論評]は、国内外の主要な事案について、様々な分野の専門家が深い分析を通じて意見を表明し、政策的な提言を発表できる議論の場を提供するために企画された論評シリーズです。引用する際は、必ず出典を明記してください。EAIは、いかなる政派的利害とも無関係な独立研究機関です。EAIが発行する報告書やジャーナル、単行本に掲載された主張や意見は、EAIとは無関係であり、あくまで筆者個人の見解であることを明記します。

*この本文は韓国語で書かれた原文を AI で翻訳したものです。一部の翻訳やニュアンスに誤りがある場合があります。

← 戻る · ← ホーム · ← 一覧に戻る