[世論ブリーフィング第91号] 北朝鮮の延坪島砲撃が国民世論に及ぼした影響
[世論ブリーフィング第91号] EAI・韓国リサーチ共同企画 11月定期世論バロメーター調査
北朝鮮の延坪島砲撃が国民世論に及ぼした影響
[分析1] 安保心理に及ぼした影響:安保が不安だ 81.5%、全面戦の可能性 26.8%
[分析2] 延坪島砲撃に対する政府の対処評価:よくやった 24.7%、間違っていた 72.0%
[分析3] 対北朝鮮認識・対北朝鮮政策選好に及ぼした影響
[分析4] 延坪島砲撃が国内政治認識に及ぼした影響
[関連報告書] EAI世論ブリーフィング第92号「強硬・融和両面が混在、対北朝鮮認識変化を読むキーワード」
[The Peterson Institute for International Economics] North Korea: Witness to Transformation 引用を見る
[分析1] 2000年以降の安保不安心理の変化:最高潮に達した安保不安 81.5%
2000年代最大の安保危機感:融和と危機の交差
金大中~盧武鉉政権期:2002~3年西海交戦/北朝鮮核開発 54.8% → 2006年北朝鮮核実験 63.8% →2007年首脳会談 31.9%
● 11月23日、北朝鮮の砲撃により延坪島が炎に包まれ、軍人および民間人の死傷者が発生した。1953年7月27日の休戦協定締結以降、西海上で3度の交戦と天安艦沈没事件があったが、民間人を対象とした軍事攻撃は初めてという点で、少なくない衝撃と緊張感をもたらしている。
● 実際、今回の北朝鮮の延坪島攻撃直後に実施された東アジア研究院(EAI)・韓国リサーチ11月世論バロメーター調査によると、現在の韓国の安保状況について「不安だ」という回答がなんと81.5%(非常に不安 34.9%+やや不安 46.6%)で、2000年に同設問に対する調査が開始されて以来、最も高い不安感を示している。
● 第一次南北首脳会談直後の2000年調査では不安だという回答が18.9%に過ぎなかったが、その後ブッシュ政権の登場以降、北朝鮮の核問題により不安感が高まり、2003年1月、北朝鮮のNPT(核拡散防止条約)脱退を機に54.8%まで上昇した。2004年に入り、2度の六者会談の局面を経て43.0%まで緩和された安保不安感は、2006年の北朝鮮第一次核実験の衝撃で63.8%まで上昇したが、2007年の第二次首脳会談で31.9%まで低下した。
[図1] 2000年以降の安保不安感の変化:不安だ(非常に+やや)回答比率(%)
李明博政権期:延坪島砲撃で歴代最高の安保不安感に達する
第二次北朝鮮核実験(09.06) 59.2% → 天安艦発表(10.05) 75.4% → 延坪島砲撃(10.11) 81.5%
● 現政権初期だけでも大きな危機要因はなく、安保不安感を表明した回答は2009年3月の調査で29.5%に過ぎなかった。しかし、北朝鮮の対南・対米強硬ドライブ政策が本格化し、2009年4月5日の長距離ロケット発射試験を皮切りに、5月25日には第二次北朝鮮核実験により安保不安感が32.8%から48.4%に上昇した。拡散防止構想(PSI)など、北朝鮮に対する国際社会の制裁の動きが本格化するにつれて、6月の調査では59.2%まで上昇した。
● 2009年8月に入り、北朝鮮が抑留していた2人の女性記者を釈放し、金剛山問題解決のために玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)現代グループ会長が訪朝するなど、一時的な融和ムードに支えられ、安保不安感が急激に減少したことがあった。
● 2010年に入ってからは、3月26日の天安艦事件発生直後、不安感が2006年の第一次北朝鮮核実験当時の水準である66.8%まで上昇し、1ヶ月後、北朝鮮の犯行であるという政府公式発表により75.4%まで急騰したことがあった。その後、7月の韓米合同訓練など、韓米協力の水準を高めるにつれて59.6%まで安保不安感が鎮静化するかに見えたが、今回の延坪島砲撃により、なんと81.5%まで安保不安を訴える声が大きくなることになった。
● 今回の延坪島砲撃の場合、安保不安感を大きく上昇させたのは、何よりも休戦協定以来、韓国の領土と民間人を直接的な攻撃対象とし、曲射砲という中強度以上の軍事行動を敢行した点が多く作用したと見られる。これまで南北間の少なくない軍事衝突過程で守られてきた国際法上の民間人、民間物資に対する攻撃を禁止する「区別の原則」さえ、今回の攻撃によって崩れたという点で、国民の怒りと懸念が深刻化した結果と解釈される。
[図2] 李明博政権期 2009-2010年 安保不安感の変化:不安だ(非常に+やや)(%)
全面戦の懸念は低い:戦争が起こるだろう 26.8%、戦争は起こらないだろう 71.4%
女性(35.4%)、若年層(20代 35.7%、30代 32.5%)、MB批判層(30.9%)で全面戦の懸念が大きい
● このような安保不安感が全面戦への拡大懸念にまで及んだわけではない。今回の調査で「戦争が起こるような不安な考えがありますか?それともないですか?」と尋ねた結果、全体の回答者の26.8%のみが戦争が起こるような不安感があると答え、71.4%は戦争が起こるようではないと答えた。
● しかし、性別、世代別では少なくない温度差が確認される。男性は18.0%のみが戦争が起こるだろうと答えたのに対し、女性回答者の場合35.4%が戦争が起こるような不安な考えがあると答えた。世代別では若年層で戦争に対する懸念が大きく、高齢層では全面戦に対する懸念が少なかった。戦争が起こるだろうという回答を見ると、20代は35.7%、30代は32.5%で平均回答を上回り、40代では25.1%、50代以上では19.6%のみが戦争が起こるだろうと答えて対照的だった。大統領の国政支持の有無によっても若干の認識差が確認される。大統領の国政支持層では22.2%のみが戦争の可能性に懸念を示したが、国政に批判的な回答層では30.9%が戦争の可能性を答えた。学歴や職業、地域別では大きな差は見られなかった。
[図3] 性別/年齢/大統領国政支持別 戦争可能性評価:「戦争が起こるだろう」(%)
[分析2]. 延坪島砲撃に対する政府の対応評価
政府対応評価:よくやった 24.7%、間違っていた 72.0%、進歩と保守のいずれも批判的
延坪島対応への反感が国政支持率下落につながる、10月 51.0%→ 11月 44.2% 6.8%P下落
● [図4]を見ると、このような怒りと衝撃を反映するように、政府対応に対する国民の評価は冷淡だった。よく対応したという回答が24.7%(非常に良く対応している 1.9%+良く対応する方だ 22.8%)であったのに対し、間違っていたという回答は72.0%(間違って対応する方だ 46.0%+非常に間違って対応している 26.0%)に達した。
● 注目すべき点は、政府・与党の反対派である民主党支持層、進歩層だけでなく、政治的基盤である政府・与党の支持層からも否定的な評価が高い点である。ハンナラ党支持層でも間違っていたという回答が63.4%、保守層でも72.8%が「政府が対応を間違った」と答えており、今回の対応に対して支持層からでさえ評価を得られていない。さらに大統領の国政評価を良くしていると答えた回答層でも58.8%が間違っていたと答える人が多かった。
● このような批判世論を反映するように、大統領府と政府は政界とマスコミ、市民社会の様々な批判に直面している。拡大を覚悟しても軍事的な報復が十分に行われなかったという批判が提起されるかと思えば、逆に政府の強硬な対北朝鮮政策が問題だという相反する評価も存在する。一方、初期対応過程で政府の対応方向の混乱および国民向けメッセージ管理の失敗を指摘する声も高い。また、老朽化した軍事施設の問題、延坪島での対民管理の問題など、様々な視点から多様な批判が噴出している。国民の安全と生命がかかった危機状況に対する政府の対応体制を一段階発展させる契機とするためには、危機時に表出される世論に対する綿密かつ体系的な分析が必要である。
[図4] 国政支持/イデオロギー性向別/支持政党別 延坪島砲撃に対する政府対応評価:「間違っていた」(%)
政府対応の不手際が安保不安感を増幅させる
政府対応「肯定的評価層」安保不安 71.6%、 「否定的評価層」安保不安 85.6% 15%p高く
● 政府対応に対する否定的な認識は、何よりも国民の安保不安感を増幅させたことが分かった。政府対応によって不安感が増大したことは、延坪島砲撃に対する対応を政府が良くやったという層では安保が不安だという回答が71.6%であったが、政府対応が間違っていたと答えた層では安保不安感が85.6%にも達した。
● 休戦協定以来初めて韓国の領土および民間人居住地域に対する中強度攻撃であったという点で、政府の対応とは無関係に安保不安感を高めたのは事実である。しかし、政府の対応が間違っていたという回答層で、良くやったと回答した層よりも不安だという評価が15%p高かったということは、政府の対応によって不安感が増幅されたことを示唆する。
● さらにその強度を見ると、差はさらに大きい。政府が延坪島攻撃に良く対応したという層では、全般的な安保状況が「非常に不安だ」という回答が18.2%、「やや不安だ」という回答は53.5%で、やや弱い不安感を示した。しかし、政府の延坪島砲撃に対する対応を間違っていたと回答した層では、「非常に不安だ」という世論が41.3%にもなり、「やや不安だ」という回答は44.3%となった。「非常に不安だ」という回答の割合は、肯定的評価層に比べて否定的評価層で約33.1%pも高く出た。
[図5] 延坪島砲撃に対する政府対応評価別 安保不安感(%)
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| (1) 肯定的評価層(197名)の安保不安感 | (2) 否定的評価層(576名)の安保不安感 |
世論から見た政府対応の詳細評価:功罪
うまくやった対応:「ない」 26.1% > 「拡大防止」 21.8% > 「韓米同盟」 16.5% > 不安心理抑制 9.4% > 「経済管理」 6.4%
間違っていた対応:「危機管理システム」36.5% >「軍事報復」23.8% >「対応方向の混乱」13.1% >「政府発表の混乱」11.4%
● 政府の対応に対する世論の全体的な評価は非常に厳しいが、さらに細分化して冷静に分析すれば、今後の政府の危機対応体制を構築する上で重要な示唆を得ることができるだろう。このため、今回の北朝鮮の延坪島武力攻撃に対する政府対応の肯定的側面と否定的側面について尋ねた。
● 政府対応に対する肯定的な評価としては、現在蔓延している批判世論を反映するように、「うまくやった点はない」という冷笑的な評価が26.1%で最も多かった。しかし、初期大統領の対応メッセージとして適切性論争を呼んでいる「拡大防止」を肯定的な評価要因として挙げた回答が21.8%で2番目に多かった。「確固たる韓米同盟維持」を挙げた回答が16.5%だった。「軍事的な報復」をうまくやったという回答は9.5%に過ぎなかった。「国民不安心理の拡散抑制」を挙げた回答が9.4%、「経済的リスク管理」をうまくやったという回答が6.4%、「その他」5.4%の順だった。
● 間違っていた点への指摘としては、「全般的な危機管理システムの不在」を挙げた回答が36.5%で最も高く、「生ぬるい軍事報復」を挙げた回答が23.8%で続いた。政府の「北朝鮮に対する対応方向の混乱」を挙げた回答が13.1%、「政府発表の混乱」11.4%、「対中国外交力の不在」を挙げた回答が6.9%で続いた。「その他」3.3%、「間違っていた点はない」という回答は1.4%だった。
● 主に論争となっている軍事的な報復が適切に行われなかった点よりも、全般的な危機管理システムの不在や対応戦略の混乱など、我が政府の対応に見られる非体系性と混乱を指摘する声が高かった。すなわち、北朝鮮の攻撃やそれに対する報復水準を決める問題だけでなく、政府の対応戦略と国民向けメッセージ管理において見られた問題点を正確に診断し、危機発生時の政策の一貫性と確実性を高めるシステム改善策を 마련することに優先順位を置くべきであると見られる。
[図6] 延坪島砲撃に対する政府対応の詳細評価:うまくやった点と間違っていた点(%)
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| (1) うまくやった対応 | (2) 間違っていた対応 |
進歩も保守も批判的、批判理由には視覚差が大きい
進歩層と中道層は「危機管理システムの混乱」を、保守層は「生ぬるい軍事対応」を最も問題視
● 前述の通り、政府の延坪島(ヨンピョン島)北朝鮮砲撃に対する対応を見る目は、進歩層も保守層も好意的ではなかった。しかし、進歩層や保守層が政府を批判する理由を見ると、少なくない視点の違いが確認される。
● [図7]を見ると、進歩層および中道層では、危機時に適切に機能しなかった「全般的な危機管理システムの不在」を指摘した回答がそれぞれ42.3%、41.5%で最も多かった。次いで、「北朝鮮への対応方針における混乱」や「政府発表における混乱」など、政策の方向性や国民へのメッセージ管理における一貫性のなさを指摘した回答がそれぞれ23.9%、25.0%で続いた。「北朝鮮への生ぬるい軍事対応」を指摘した回答は、それぞれ20.9%、19.7%の水準であった。
● 一方、保守層では「北朝鮮への生ぬるい軍事対応」を指摘した回答が32.2%で最も多かった。「全般的な危機管理システムの不在」を指摘した回答は27.8%であり、「北朝鮮への対応方針における混乱/政府発表の混乱」を指摘した回答は合計で25.7%であった。
● 初期政府の対応において、北朝鮮への応戦よりも事態の拡大防止や国内管理を優先したという批判を受けているが、こうした世論は主に保守層を中心に広がっていると見られる。進歩および保守層の有権者層では、危機対応体制の不在と政策的な混乱を指摘する回答が多かった。現在、政界、メディア、市民社会の間で十分に議論されているとは言えないが、政府の対応において肯定的に評価される点についても関心を払う必要がある。
[図7] イデオロギー志向別、延坪島砲撃に対する最も否定的な評価要因 (%)
[分析3] 対北朝鮮認識/対北朝鮮政策選好の変化:天安艦(チョンアンハム)事件と延坪島事件の世論比較
事件概要の比較
● 天安艦事件と延坪島砲撃事件の最も大きな相違点は、天安艦事件の場合、政府の公式発表によれば北朝鮮の潜水艦が韓国領内に侵入し、韓国の戦闘艦に対し魚雷を発射して沈没させた事件であり、国際法上の民間人および民間施設への攻撃禁止原則の枠内で発生した軍事行動であったのに対し、延坪島砲撃事件は民間人および民間施設を攻撃対象に含めた点にある。
● 天安艦事件の場合、北朝鮮が天安艦攻撃を否定したため、政府の公式見解として北朝鮮の犯行であると判断を下すのに約2ヶ月を要した。一方、延坪島砲撃事件では、北朝鮮が3日後に公式に北朝鮮が精密打撃したと発表したため、責任の所在の確実性においても違いが見られる。
● 周辺国の対応においても、天安艦事件の場合、韓国・米国・日本が一つの陣営、中国・ロシア・北朝鮮がもう一つの陣営となり、事件の真相を巡る認識と対応の違いを示した。中国とロシアは、韓国政府が発表した天安艦事件の真相の内容を受け入れなかった。延坪島砲撃事件の場合、ロシアは直ちに北朝鮮に責任の所在があることを明確に示して対応しているのに対し、中国政府は事件の発端が北朝鮮近海での韓国の射撃訓練直後に発生した点に注目し、当初は両論併記的な反応を示した。しかし、11月28日から西海(ソヘ)海上での米空母まで動員された韓米合同軍事訓練が開始されてから、態度に変化が見られる。駐中北朝鮮大使との面談や、韓国の排他的経済水域内での韓米合同軍事訓練を容認するというメッセージを通じて、北朝鮮の誤った再挑発を抑制しようとする変化を見せている。
● 政府の対応において初期に混乱が生じた点では似ている。天安艦事件の場合、事件発生直後に青瓦台(チョンワデ)は「北朝鮮の犯行ではないと推測される」との立場表明をし、事件初期には犠牲者の収拾と葬儀の手続き→真相究明→対応という手順を踏んでいった。しかし、天安艦の引き上げを契機に真相究明に速度を出し、5月20日、合同調査委員会は北朝鮮の魚雷攻撃であることを公式化し、李明博(イ・ミョンバク)大統領は5月24日、戦争記念館での国民向け談話を通じて一連の対北朝鮮対応原則を提示した。北朝鮮の再挑発時には軍事的懲罰の意思を表明し、南北関係の断絶や国連安保理への付託などを盛り込んだ対北朝鮮制裁案を提示した。初期の慎重なアプローチから後半期の迅速な対応への転換過程が、地方選挙を控えた時期であったため、世論は北朝鮮の責任論を受け入れつつも、5月30日の調査では回答者の67.2%が与党が天安艦事件を政治的に利用しようとしているとの懸念を表明した。
● 延坪島砲撃事件では、事件発生初期に大統領メッセージが「事態拡大防止管理」にあると報道された後、時間を置いてこれは誤報であり「強力な懲罰」のメッセージであったという青瓦台の釈明が国防部長官の国会証言などと矛盾し、疑惑が増幅した。これに加え、民間人まで含んだ領土への砲撃攻撃への対応が不十分であったという批判や、北朝鮮の異常な兆候の捕捉にもかかわらず延坪島住民に対する事前準備措置を取らなかった点など、様々な批判が噴出した。ついに金泰栄(キム・テヨン)国防部長官の辞表を電撃的に受理し、政局の収拾に乗り出している状況である。
[表1] 天安艦事件の概要および延坪島事件の概要
天安艦世論と延坪島世論の比較
天安艦対応は良かった 41.2%(4.24)→57.6%(5.28)、延坪島対応は良かった 24.7%
天安艦の評価は政派的な解釈(保守-肯定的、進歩-否定的)の傾向、延坪島は保守/進歩共に批判的
● 何よりも、延坪島砲撃に対する政府の対応への評価が、天安艦対応に対する評価に比べて非常に否定的である。天安艦事件の責任の所在に関する公式発表前である4月24日の調査で、政府対応が良かったという回答は41.2%で過半数に満たなかったが、5月24日の大統領国民談話直後の5月28日には57.6%が良くやっていると答えた。この時期、こうした効果に基づいて5月28日の国政支持率は50%を超えた(EAI世論ブリーフィング82号参照)。一方、事件初期であり、今後の変化の可能性はあるものの、現在の政府の延坪島砲撃に対する支持率は24.7%に過ぎない。
● [表2]で確認できるように、天安艦事件に対する政府対応への評価は、党派的な見方が影響し、進歩層、民主党支持層、国政批判層は肯定的な態度を、保守層、ハンナラ党支持層、国政支持層は否定的な態度を示す、徹底的に二極化した認識を示した。一方、延坪島砲撃の場合、非党派的な評価が支配的である点で特徴的である。これは、前述の通り、政府の反対層だけでなく、保守層・ハンナラ党支持層・国政支持層からも政府の対応(特に北朝鮮への生ぬるい対応)に対する批判世論が噴出しているためである。
軍事的報復措置の活用に対する認識が大きく変化
「限定的な軍事報復が望ましい」 天安艦事件直後 28.2% → 延坪島事件直後 68.6%
● これまで、北朝鮮の核危機、ミサイル危機、天安艦危機に至るまで、深刻な安保危機的状況において、政府の対応方針に関する世論調査を行うと、概して国際協調や対北朝鮮経済制裁手段を好み、南北関係の断絶については賛否が分かれる一方、限定的なレベルであっても軍事手段を活用することには抵抗が大きかった。
● [表2] 望ましい危機解決手段を問う質問に対し、天安艦事件直後の世論調査では「国連安保理付託」75.0% > 「対北朝鮮経済制裁」58.5% > 「南北関係の断絶」45.2% > 「限定的な軍事報復」28.2%の順となった。しかし、延坪島砲撃直後の調査では、他の手段に対する認識はほとんど変化しなかったが、「限定的な軍事報復措置が望ましい」という認識が68.6%に上昇した。
● 明らかな北朝鮮の「挑発」に対する適切な軍事報復が必要だという認識が、保守層はもちろん、中道層、進歩層にまで広がった結果である。これは、韓国領土への直接的な攻撃であった点と、タブー視されていた民間人殺傷が発生した点が、国民感情と判断に大きな影響を与えたものと解釈される。
対北朝鮮認識の二面性(ambivalent attitude)の深化:軍事措置の受容は対北朝鮮認識の転換点
軍事措置受容(68.6%)しつつも、融和的な対北朝鮮政策選好(55.2%)が共存する二面性は深化する見込み
● これまで韓国社会では、一種のタブーのように、多数の世論が対北朝鮮軍事措置に対して大きな抵抗感を持っていたが、今回の延坪島砲撃を機にそのタブーが破られた셈である。これは、今後、対北朝鮮対応の最終手段として軍事行動が、北朝鮮の態度次第では国民が選好する対北朝鮮政策の手段として相当な優先順位が付与され得ることを意味する。対北朝鮮認識変化の転換点となる可能性が大きい。
● しかし、こうした変化が強硬政策への選好へと重心を完全に移したことを意味するとは考えられない。まず、選好する対北朝鮮政策において、経済交流、観光など南北関係の完全な断絶を望ましいとする見方は42.5%であるが、これを望ましくないとする世論が53.9%で上回っている[表2]。
● [図8]で、政府が推進すべき対北朝鮮政策の方向性として「強硬に対処すべき方向で推進すべきだ」という回答は42.7%に留まったが、「融和と協力を強化する方向で進めるべきだ」という回答が55.2%で多数を占めた。もちろん、去る6月5日の調査では「強硬に対処すべきだ」という立場が37.1%、「融和と協力を強化する方向」で進めるべきだという立場が61.5%であったのに比べると、強硬世論がやや高まったものの、依然として多数派は柔軟な政策を好んでいる。
● それにもかかわらず、国民世論の中に全面戦争への恐怖は依然として深く根付いており、現在の対北朝鮮限定的な軍事措置まで受容する世論が大きくなるのは、何よりも全面戦争の可能性を大きく見ていないという前提の下で可能である。また、直ちに民間人の死亡と韓国軍の被害による感情的な反応が混合した結果と言える。こうした状況下で、政府の対北朝鮮政策への融和的な政策への転換を注文するのは、一人の個人にとって相反する価値が共存する典型的な二面的な態度の事例と見ることができるだろう。
韓国安保のてこ、韓米同盟
安保危機高まる、韓米同盟支持上昇、10年1月34.7% → 7月43.2% → 48.6%
● 参与政府(ノ・ムヒョン政権)時代、女子中学生死亡事件以降、韓米間の非対称的な関係を改善し、韓米同盟優先の安保政策から脱却しようとする世論の動きがあったが、北朝鮮の核開発、長距離ロケット、天安艦、今回の延坪島事件を経て、韓米同盟に対する支持が大きく強化されている。
● 今年1月でさえ、望ましい韓米関係を問う質問に対し、30.8%が「脱米自立外交政策」を、33.6%が「現状維持の中道的な立場」を、34.7%が「韓米同盟の強化」を支持するなど、一種の政治的な均衡を成していた。しかし、天安艦事件が発生した後実施した7月の調査では、「脱米自立外交」を選好する立場は23.7%に減り、「現状維持」の立場は30.4%で停滞、「韓米同盟の強化」の立場が43.2%と8.5%p上昇した。
● 4ヶ月後の11月、延坪島事件後の調査では、こうした傾向がさらに強化されている。「脱米自立」の立場の選好は18.1%と、今年1月比で-12.7%p減少し、「現状維持」の立場は依然として30.5%で変わらなかったが、韓米同盟強化の立場は48.6%まで上昇した。1月比で実に13.9%p上昇した結果である。南北間の軍事的対立関係が深化しているが、政府の対北朝鮮対応に対する信頼が強固でない状況で、韓米同盟に対する期待と信頼が高まっていると解釈される。
[図8] 今後の政府の対北朝鮮政策および望ましい韓米関係推進の方向性 (%)
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| 今後の対北朝鮮政策の方向 | 今後の望ましい韓米関係 |
[表2] 天安艦事件と延坪島砲撃事件の世論比較
[分析4] 延坪島が国内政治に与えた影響
MB(李明博)国政支持率の下落 51.0%→44.2%、G20効果の元通り
政党支持率に変化なし、ハンナラ党 35.2%、民主党 23.5%
次期大統領選、朴槿恵 30.8% > 柳時敏(ユ・シミン) 8.5% > 孫鶴圭(ソン・ハッキュ) 5.8% > 李会昌(イ・フェチャン) 5.3% の順
● 今回の延坪島砲撃に対処する政府の対応に対する否定的な評価は、大統領の国政支持率全体の下落につながった。去る10月の調査で51.0%と過半数の支持を超え、G20首脳会議直後には一部調査で60%台に達したとの報道もあったが、今回の調査では44.2%まで下落した。[図9]、[図10]で見られるように、最近の支持率上昇は主に中道層と保守層からの支持率上昇に起因する部分があった。しかし、今回の調査では、前月比で保守層が-8.5%p(66.1%→57.6%)、中道層が-6.2%p(47.0%→39.8%)下落し、進歩層の-5.1%p(36.8%→31.7%)の下落幅を上回った。
● 政党評価においては大きな変化はなかった。ハンナラ党の支持率は10月の37.3%から11月には35.2%となり、民主党も10月の23.5%から11月には22.9%と、横ばい状態と見える。緊急の安保懸案および軍事的対応を伴う事案の場合、主に大統領と政府固有の統治領域であるという点が考慮されたものと見られる。
[図9] 国政支持率/政党支持率の変化:「よくやっている(非常に良い+まあまあ)」 (%)
[図10] イデオロギー志向別、国政支持率の変化:「よくやっている(非常に良い+まあまあ)」 (%)
次期大統領選、朴槿恵 30.8% > 柳時敏 8.5% > 孫鶴圭 5.8% > 李会昌 5.3% の順
安保危機最大の受益者は李会昌
● 朴槿恵(パク・クネ)前代表の場合、去る8-9月の(朴槿恵氏と李明博大統領の)和解後、10月には30%台に再進入して以来、11月の調査でも30.8%で首位を走っている。柳時敏(ユ・シミン)元長官が8.5%、孫鶴圭(ソン・ハッキュ)代表は5.8%で3位、李会昌(イ・フェチャン)代表5.3%、金文洙(キム・ムンス)知事4.4%の順となった。今年初めまで首位を維持していた韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相は、大統領選への出馬意欲を見せず、今は下位に沈む様子である。安保危機の雰囲気の中、李会昌代表が5.3%で2010年の調査以来初めて4位に順位を上げた。
[表 ] 次期大統領候補支持率 (%)
* 5月の調査は地方選挙および安保認識調査のため本調査を実施せず
** 李在五(イ・ジェオ)特任長官は9月から調査対象に含まれる
*この本文は韓国語で書かれた原文を AI で翻訳したものです。一部の翻訳やニュアンスに誤りがある場合があります。