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[EAI論評] 2017年オランダ総選挙:欧州連合の割り切れない勝利

カテゴリー
論評・イシューブリーフィング
発行日
2020年6月5日
関連プロジェクト
民主主義協力大統領の成功条件
[EAI論評]2017年オランダ総選挙_欧州連合の割り切れない勝利.pdf
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[編集者注]

3月15日、多くの欧州人が関心を持って見守る中、オランダ総選挙が実施されました。ブレグジットとトランプ米大統領当選に続き、極右ポピュリズムがオランダに拡散し、ネグジットにつながるのではないかという不安が大きかったためです。しかし、今回の総選挙でマーク・ルッテ首相率いる中道右派の与党・自由民主党が勝利したことで、欧州は安堵の息をつきました。しかし、安心できる状況ではないと、カン・シングク 아주대教授は分析します。与党が第一党としての地位を維持することには成功しましたが、過去より票が分散し、今後の政局が不安定に展開する可能性が高まったためです。


3月15日、オランダ議会の下院(Tweede Kamer)を構成する150人の議員を選出する総選挙が実施された。近年のオランダ総選挙としては異例なほど、欧州諸国の高い関心の中で行われた今回の選挙結果を見て、欧州連合とその支持者たちは一息ついたが、後に残った後味はすっきりしない。割り切れない。本稿では、筆者がなぜこのような考えを持つに至ったのか、一つずつ丁寧に紐解いていきたい。

まず、今回のオランダ総選挙が多くの欧州人の関心を集めた理由から検討する必要がある。たとえ過去の栄光は異なっていたとしても、現在のオランダが欧州と欧州連合において占める役割は、客観的にはそれほど大きくはない。欧州連合全体の28の加盟国の一つであり、人口比率で言えば5億を超える欧州連合の構成員の中で、1,700万人レベルのオランダ市民が占める割合は約3パーセントに過ぎない。人口数をわざわざ挙げるのは、いわゆる共同決定(co-decision)手続きに従って欧州連合の立法府としての機能も共に遂行する欧州連合理事会(the Council of the European Union)と欧州議会(the European Parliament)のいずれにおいても、争点について投票で決定する場合、加盟国に人口比例による加重を認めているからである。全体751名で構成される欧州議会議員のうち、オランダから選出される議員数は26名(約3.5パーセント)であり、人口比例による結果である。オランダが欧州連合の全28加盟国中、経済規模では6位に該当し、欧州連合の運営のためにも6番目に多い貢献をしているとはいえ、その規模は欧州連合全体の予算の5.8パーセントレベルに過ぎず、最も多く貢献しているドイツ(約21.4パーセント)の4分の1レベルに過ぎない。

しかし、このような客観的な条件にもかかわらず、今回のオランダ総選挙は格別に多くの欧州人の関心の中で行われ、その背景には現在の欧州が直面している時代的状況が存在する。今回のオランダ総選挙は、2015年以降、難民危機(refugee crisis)が全欧州を襲う中で、英国の欧州連合離脱が決定(ブレグジット、2016年6月)され、さらに大西洋を渡って米国でトランプが全ての予想を覆して大統領選挙で勝利した後(2016年11月)に初めて実施された国家単位の選挙であった。地域は異なれど、こうした流れは国家間の協力と統合を推進してきた既存の政治勢力に対抗し、統合の恩恵から疎外された市民の反感を自国第一主義へと組織化することに成功した反既存政治(anti-establishment)勢力の勝利と見ることができるだろう。さらに、2017年には3月のオランダ総選挙を皮切りに、4月末、5月初頭にはフランスの大統領選挙、9月にはドイツの総選挙が予定されている。過去の欧州選挙の歴史を振り返ると、同時期に行われる選挙で類似した結果が国境を越えて再現されることをしばしば発見できる。1990年代中後半に中道左派の「第三の道」(The Third Way)運動が巻き起こした風がそうであったし、2000年代初頭から中盤にかけて吹き荒れた新自由主義的保守主義の風がそうであった。このように国境を越えて見られる類似した選挙の様相は、一つの選挙結果が他の選挙の有権者に伝播し学習された結果というよりは、類似した社会経済的変化を経験する過程で類似した葛藤が登場し、それに対する対応もまた類似した姿を見せるようになるものであり、それ自体が欧州統合がそれだけ深化し、それによって欧州社会がますます同質化されている現象の一つの証拠と解釈できるだろう。

原因については依然として議論の余地が残っているが、近年の欧州選挙ではこのようなドミノ現象がしばしば見られ、今回のオランダ総選挙は、ブレグジットとトランプ大統領当選によって始まった反欧州統合・反グローバリゼーション・反既存政治の流れが続くのかどうかを分ける重要な試金石と認識された。これが今回のオランダ選挙がかつてないほどの高い注目を集めることになった主な理由である。さらに、オランダは今年選挙が予定されているフランス、ドイツと共に、今日の欧州連合(the European Union)を生み出した母体となった欧州石炭鉄鋼共同体(the European Coal and Steel Community)の6つの創設国(the Original Six)の一つではないか。したがって、今回の総選挙は、オランダが欧州連合において占める比重に対する客観的な評価を超える象徴的な波及力を持つ選挙として受け止められた。今回の総選挙に臨んだ与党・自由民主党(Volkspartij voor Vrijheid en Democratie, VVD)のマルク・ルッテ(Mark Rutte)首相が、自ら今回の選挙を欧州連合の運命を決定づけるトーナメントの「準々決勝」(quarter-final)と描写して支持を訴えたことも、こうした流れに対する認識を反映したものと言えるだろう。

以上の背景説明を通じて推測できるように、今回のオランダ総選挙の最大の観戦ポイントは、反移民・反欧州連合・反イスラム主義を主張するヘールト・ウィルダース(Geert Wilders)率いる極右ポピュリズム政党である自由党(Partij voor de Vrijheid, PVV)が国会最多勢力となるか否かであった。「オランダを再び我々のものに!」(The Netherlands Ours Again!)という、まるでトランプを連想させるスローガンで始まる自由党のマニフェスト(manifesto)は、1ページにも満たないほど短いものであったが、その内容はイスラム寺院や学校の閉鎖、イスラム聖典クルアーンの販売禁止、イスラム難民の流入禁止といった反イスラム措置と共に、オランダの欧州連合離脱を含んでいた。内容の一部は、オランダが加盟している国際条約に違反するのみならず、オランダ憲法にも合致しない極端で国粋主義的なものであったが、大衆の判断は全く異なっていた。難民危機が本格化した2015年夏以降に実施されたほとんどの世論調査で、ウィルダースの自由党(PVV)が政党支持率でルッテ首相率いる自由民主党(VVD)を上回ると報告されており、この流れは選挙を数日後に控えた2月まで維持された。ブレグジットに続くネグジット(Nexit)の恐怖が、欧州連合支持者の間でますます現実味を帯びていく様子を見せたのである。

しかし、異変はなかった。ルッテ首相率いる穏健保守傾向の自由民主党(VVD)が、ウィルダースの極右ポピュリズム傾向の自由党(PVV)の激しい挑戦を退け、第一党の座を守り抜いたのである。いわゆる「シャイ・トランプ、シャイ・ウィルダース」(shy Trump, shy Wilders)現象は、今回は現れなかった。選挙結果を胸を焦がして待っていた欧州連合支持者たちは、大きく安堵の息をつき、胸をなでおろした。ルッテ首相は出口調査を通じて総選挙の輪郭がある程度明らかになった後、開かれた自由民主党の総選挙祝賀会で、「ブレグジットとドナルド・トランプ当選以降続いていた『間違ったポピュリズム』をオランダが止めた夜だ。民主主義の祭りだ」と大いに喜んだ。

しかし、今回の総選挙の結果と内幕を少し深く掘り下げてみると、欧州連合支持者たちでさえ、そうやすやすと安心し喜ぶことはできないという考えに至る。 (表現がやや荒いが)選挙の後味はすっきりせず、割り切れない。まず、選挙結果を見ると、与党連合の首相を輩出した自由民主党は、第一党としての地位は維持したものの、2012年の結果と比較すると得票率では5.3%p、議席数では41議席から33議席へと8議席減少した。こうした結果をもって勝利と言うには、気まずく、みっともない。今回の選挙の最大の敗者は、自由民主党と共に与党連合(government coalition)を構成していた労働党(Partij van de Arbeid, PvdA)である。労働党は5.7%の得票率で9議席に終わった。これは2012年比で得票率が19%p減少し、議席数では29議席減という、実に惨憺たる結果と言わざるを得ない。与党連合を構成していた二党(VVDとPvdA)を合わせると、得票率では24.3%p、議席数では37議席減少した結果となり、半減を少し超えた計算になる。これに対し、極右傾向の自由党は、歴代最高の成績を収めた2010年の24議席には及ばないものの、2012年より2.9%p増加した13%の得票率で、5議席増の20議席を確保するという「成果」を収めた。結局、今回の選挙は誰かの勝利と言うには難しい結果を生んだ。与党連合の減少した票が自由党の増加した票よりもはるかに多かったということは、複数の政党に票が分散したことを意味する。実際に、今回の選挙では歴代最多の28の政党が競った。その結果、13の政党が議席を確保し、有効政党数が2012年の5.7から8.1へと増加し、極めて深刻な断片化(fractionalization)の様相を示している。こうした結果は、既存の政治全般に対する市民の不信と不満が反映されたものであり、今後の政局がより混乱し、不安定に展開する可能性が大きいという展望に力を与える。

しかし、今回の選挙が筆者をさらに懸念させる部分は、結果そのものよりも選挙の内容的な側面である。そもそも議会制(parliamentary sys-tem)国家の特性上、選挙結果が次期政府を直接決定づけるわけではない。特にオランダのように比例性が高い選挙制度により、多党制議会が日常的に登場する状況では、政府構成のための交渉過程が不可欠であり、この過程で選挙の結果と乖離した政府が登場する例がしばしば見られる。事実、今回の選挙で極右の自由党が第一党にならなかったことについて、多くの人々が歓呼したが、仮に自由党が最多勢力になったとしても、自由党が主軸となる政府が構成されると予想した人はほとんどいなかっただろう。それは、オランダ議会選挙の特性上、自由党が単独で過半数の議席(76議席)を確保する可能性は皆無であり、ほぼ全ての主要政党が選挙運動過程で自由党との連立の可能性を一蹴する公約を発表していたからである。第一党が政府構成から排除されることが「民主主義」にふさわしくない、したがってまた別の負担として作用したかもしれないが、これもまた議会制民主主義が運営される方式の一つであり、筆者が選挙の結果よりも内容に注目する理由である。

今回の選挙で与党・自由民主党の第一党維持に関連して注目すべき二つの場面があった。その一つは、ルッテ首相が選挙のわずか6週間ほど前の1月22日、全国主要新聞にオランダ市民に送る公開書簡の形式で選挙広告を掲載したことである。この公開書簡は、オランダに定住した移民たちに「オランダの価値と文化を受け入れ、オランダ人のように行動せよ。それが嫌なら去れ」(Act normal, or go away)というメッセージを含んでいた。自由と寛容をオランダの核心的価値と説明しながら、この価値を「強要」するという矛盾した姿を見せたのである。もう一つは、選挙終盤に発生したトルコとの外交紛争である。大統領権限を強化する内容の憲法改正案に関する国民投票を前に、在外同胞(トルコ人)の支持を結集するため訪問しようとしたトルコ人閣僚たちの入国を不許可したことである。この措置は、もしトルコ人たちの集会がオランダ主要都市で実現した場合、それが市民の反イスラム感情を刺激し、自由党への支持につながる可能性があるという懸念から、先制的に取られたものであった。この二つの場面はいずれも、反イスラム主義を標榜する極右自由党に対する牽制を目的としたものであり、今回の総選挙で穏健保守傾向の自由民主党が第一党としての地位を維持する上で一定の役割を果たしたと評価される。しかし、この二つの場面はいずれも、自由と寛容という価値とはあまり相性が良くなかった。

上記の二つの事例は、いずれも自由民主党に関連するものではあるが、今回の選挙でほぼ全ての主要政党の政策路線がより右傾化した姿を見せたことは、今回のオランダ選挙を関心を持って注視した人々の共通した意見である。結局、今回の総選挙で欧州統合を支持するオランダが「勝利」したが、彼らが描くオランダと欧州は、これまでのオランダと欧州とは異なる姿を見せる可能性が大きい。今回の選挙の後味の悪さの理由である。■


著者

カン・シングク 아주대학교政治外交学科准教授。米国ロチェスター大学で政治学博士号を取得。主な研究分野は比較政治制度、議会政治過程、欧州政治など。主な研究として「The Influence of Presidential Heads of State on Government Formation in European Democracies」(2009)、「Representation and Policy Responsiveness」(2010)、「どのような民主主義か?制度と価値体系の整合性を通じて見た韓国民主主義の発展方向模索」(2011)、「準大統領制の概念と実際」(2014)、「反移民政党の成長が主流左・右派政党支持に与える影響」(2015)などがある。


〈EAI論評〉は、国内外の主要な事案について、多様な分野の専門家が深い分析を通じて意見を表明し、政策的な提言を発表できる議論の場を設けることを目的に企画された論評シリーズです。引用する際は、必ず出典を明記してください。

EAIはいかなる政派的利害とも無関係な独立研究機関です。EAIが発行する報告書やジャーナル、単行本に掲載された主張や意見はEAIとは無関係であり、あくまで著者個人の見解であることを明示します。

*この本文は韓国語で書かれた原文を AI で翻訳したものです。一部の翻訳やニュアンスに誤りがある場合があります。

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