[世論ブリーフィング 132号] 安保危機と韓国人の安保意識
[世論ブリーフィング 132号] EAI 2013 政治安保意識調査
Ⅰ. 第3次核実験以降の安保認識指標
Ⅱ. 安保危機と対外認識
Ⅲ. 安保危機と北朝鮮・統一認識
Ⅳ. 安保危機と国内政治:安保結集の経路分析
I. 2013 政治安保調査に現れた主要安保指標
安保が不安だ 70.6%
2013年2月12日、北朝鮮が3度目の核実験を強行し、それに続き3月5日には停戦協定の白紙化、5月4日には開城工業団地の暫定閉鎖措置が取られ、南北間の緊張が高まる中で、韓国国民の安保不安感が増大した。2010年11月の延坪島砲撃直後には、韓国の安保状況が全般的に不安だと回答した者が81.5%に達したが、2011年の延坪島1周年調査では61.0%、2012年の2周年調査では37.1%まで低下し、安定に向かう傾向にあったものの、2013年4月の調査では70.6%まで急上昇した。
在韓米軍戦力を除いた軍事力評価:北朝鮮優位 51.6%、同程度 23.3%、韓国優位 24.6%
このように高まった安保不安感は、北朝鮮の核保有および衛星打ち上げで証明された運搬能力により、南北軍事力の均衡が崩れたという認識が作用した結果と考えられる。今回の調査で、在韓米軍戦力を除いた南北軍事力評価について、韓国が優位であるという回答は24.6%に過ぎず、南北が同程度であるという評価は23.3%にとどまった一方、北朝鮮が優位であるという評価は51.6%にも達した。
韓米同盟の抑止力への依存:韓米同盟を強化すべき 65.6%
北朝鮮の核保有によって崩れた南北軍事力の均衡は、韓米同盟への支持へと繋がっている。「望ましい韓米関係の方向」を問う質問に対し、65.6%が韓米同盟を今より強化すべきだと回答した一方、19.5%が現水準の維持、14.9%が米国の影響力から脱却し独自の外交を展開すべきだと答えた。
中国への不信:南北衝突時に中国は北朝鮮を支持 62.1%
一方、米国と共にグローバルパワーとして急浮上している中国の態度については、大きな疑問があることが示された。62.1%が北朝鮮を支持すると見られ、31.7%のみが中立を守ると予想された一方、韓国を支持するという回答は6.2%にとどまった。
北朝鮮核問題の解決策:6者会談 51.3% > 経済制裁 28.0% > 米朝対話 12.8% > 軍事措置 7.6%
自身が考える北朝鮮核問題の解決策としては、6者会談のような外交的努力を挙げた回答が51.3%で最も多く、北朝鮮に対する経済制裁を挙げた回答が28.0%で続いた。米朝対話を挙げた回答は12.8%で、韓国を除いた解決策への支持は低く、軍事的措置を挙げた回答は7.6%で、戦争は避けるべきだという考えは強いことが示された。
韓国も核兵器を持つべき 73.4%
北朝鮮の核保有に対し、対外的には韓米同盟を強化し、南北を含む国際社会との外交的努力を通じて北朝鮮核問題を解決すると同時に、国内的には韓国も核兵器を持つべきだという意見が高まっているようだ。「韓国も核兵器を持つべきだ」という主張に対し、33.7%が非常に同意すると回答し、39.7%が概ね同意すると表明しており、韓国の核保有に対しては肯定的な回答が多数を占めた。
対北朝鮮支援の縮小・中断すべき 54.1%
北朝鮮の安保上の脅威は、韓国国民の対北朝鮮支援意思も萎縮させている。対北朝鮮支援を現在より拡大すべきだという意見は9.4%、現水準を維持すべきだという意見は36.3%であったのに対し、現在より減らすべきだという世論は30.7%、中断すべきだという世論は23.4%で、過半数が消極的または否定的であった。特に現政府の対北朝鮮支援が金大中、盧武鉉政権時代に比べて縮小している点を考慮すると、現水準を維持すべきだという意見も対北朝鮮支援に対する積極的な同意とは解釈し難いことから、全体的に対北朝鮮支援に対する国民世論は冷淡であると評価できる。
統一の緊急性 11.5%、速度調整必要 39.4%、急ぐ必要はない 31.7%、統一の必要はない 17.4%
統一認識も冷え込んでいる。統一を急ぐべきだという意見は11.5%、速度調整しながら推進すべきだという意見は39.4%、急ぐ必要はないという意見は31.7%、統一の必要はないという意見も17.4%であった。統一に対する積極的な態度は少数意見に過ぎず、慎重なアプローチが必要だという認識が大多数を占める一方、統一の必要はないという意見も少なくなかった。
[図1] 第3次核実験以降の韓国国民の安保認識
データ:EAI 2013 政治安保意識調査(2013.4)
Ⅱ. 安保危機と対外認識:強い国家自負心と対米依存心理の共存
1. 強い国家自負心と国防力への不信
[図2]を見ると、2000年代以降、韓国人の国家自負心(national pride)は上昇の一途をたどっている。2000年の調査で「私は韓国人であることを誇りに思う」という陳述に同意する割合は64.1%、2001年の調査では79.3%、2003年の調査では85.4%と、主に2000年代初頭に急激な上昇幅を見せた。その後も一貫して韓国人としての自負心は上昇し続け、2013年の調査では92.2%まで高まった。
しかし、韓国の国防力は、こうした国家自負心を裏付ける要因ではない。2010年のEAI・ARIの第2次<国家アイデンティティ>調査で、民主主義、国際的地位、経済的成果、社会保障、科学技術、スポーツ、芸術・文化、歴史、軍事力水準など9つの領域別の国家自負心を測定した結果、社会保障水準(誇らしい 17.0%)、国際的地位(27.3%)に次いで3番目に自負心の低い領域であった。韓国の軍事力水準が誇らしいという回答は40.0%、誇らしくないという回答は59.5%で、2005年の調査で誇らしいという回答が30.6%、誇らしくないという回答が65.2%であったのに比べれば改善された。しかし、否定的な認識が依然として多い。主に科学技術、歴史、スポーツ、経済的成果の部分が韓国の自負心を牽引し、民主主義や軍事力のような政治軍事的な領域は国家自負心を色褪せる領域である(EAI <韓国人、我々は誰か> 2010)。
[図2] 韓国人の国家自負心の変化(%)
データ:ソウル大学社会発展研究所(2000)、韓国政策広報院(2001)、East Asia Barometer(2003)、EAI 2013 政治安保意識調査(2013.4)
実際に今回の調査で、在韓米軍を除いた南北の軍事力水準について、一般国民は第1次核実験があった2006年半ばまでは北朝鮮が優位だという意見が多かったが、南北平和および北朝鮮核問題解決への期待感が高まった2007年12月の南北首脳会談直後の調査では、南北間の軍事力が均衡しているという世論が急増(42.9%)したこともあった。しかし、再び5年が経過し、北朝鮮の衛星打ち上げ成功や第3次核実験などにより、2013年の調査では北朝鮮の軍事力が優位であるという認識が大きく増加した。
このような韓国軍事力への不安感は、安保不安感に直結するため、政府や軍が注視する必要がある点である。今回の調査で、韓国の安保状況について全般的に安定的だと考える人々のうち、韓国軍事力が北朝鮮に比べて優位だと見る回答は10人のうち4人(39.9%)であったが、不安だと感じる人々の中では、韓国が北朝鮮に比べて軍事的に優位だという回答は10人のうち2人(22.1%)に過ぎなかった。
[図3] 在韓米軍を除いた南北軍事力評価の変化(%)
データ:国防大学校一般国民安保意識調査(2000-2004)、韓国人の政治安保意識調査(2006; 2007; 2013)
2. 対外認識の変化:南北間の軍事的緊張、親米感情へと帰結
自ら安保を維持する力への不信が存在する状況で、安保不安状況が到来する時、国民の心理的な安全弁は韓米同盟という外部の力への依存へと帰結する。かつて2000年代半ば、米国に代わる中国代替論が一時、政界や市民社会で話題になったが、中国の東北工程のような歴史的争点、北朝鮮核問題など安保問題において中国が北朝鮮を擁護する姿勢などにより、中国代替論はすぐに影響力を失った。特に2006年の第1次核実験、2009年の第2次核実験、2010年の天安門・延坪島砲撃事件、2013年の第3次核実験などが相次ぎ、中国よりも米国との伝統的な同盟関係への依存へと傾く状況である。
好感度スコア:米国 71点、中国 53点、日本 41点、北朝鮮 32点
まず、情緒的な次元で、東アジア研究所が2004年から定期的に調査している周辺国好感度スコアの平均を見ると、2004年、中国の東北工程が始まり、2006年の第1次核実験が現実化する以前までは、米国と中国への好感度が同程度であった。0点に近いほど非常に嫌い、100点に近いほど非常に好きを意味し、50点は良くも悪くもない中立的な感情を意味する。
2004年の調査では米中ともに58点、2006年10月の第1次核実験直前の7月調査では米国58点、中国57点と対等な好感度を示した。しかし、その後の調査で米国好感度は上昇し、中国に対する好感度は下落する傾向を見せた。米国好感度は2008年の調査および2010年の天安門事件前の1月調査で61点水準まで上昇し、一方、中国好感度は50点、49点と、日本好感度スコアと似た水準まで低下した。米国の場合は、天安門・延坪島砲撃事件から1年が経過した2011年の調査で67点、2013年の第3次核実験後の4月調査で71点まで上昇したのに対し、中国に対する好感度はそれぞれ51点、53点と停滞し、韓国国民が感じる米国と中国の好感度の格差は広がる。
一方、北朝鮮の場合、李明博政権初期までは2004年46点、2006年49点、2008年2月49点と、好感の対象ではなかったものの、中間よりやや低い水準であったが、2010年以降、2010年の調査で41点、2011年32点、2013年32点と、北朝鮮に対する好感度が反感レベルまで低下していることが確認される。日本に対しても韓国人の好感度は微温的な水準であったが、2011年、2013年の調査でそれぞれ40点、41点と、2008年50点、2010年49点水準に比べてかなり低下したことが示された。結局、2010年以降の安保状況の変化は、米国に対しては好感度上昇、中国は微温的な態度、日本と北朝鮮は反感の上昇と要約できる。
[図4] 周辺4強に対する国家好感度スコアの変化(平均)
データ:EAI・CCGA Global Views(2004.7; 2006.7; 2008.2)、EAI・韓国リサーチ定期調査(2010.1)、EAI・ARI韓中国民認識調査(2011.8)、2013 政治安保意識調査(2013.4)
米中対立時に米国を支持すべき 45.6% vs. 中立を守るべき 51.3% vs. 中国を支持すべき 3.0%
このような親米感情、反北感情の強化は、米中対立時に米国を支持すべきだという立場の強化へと繋がっている。[図5]を見ると、2011年の調査だけでも、米中の間に深刻な対立が発生した場合、62.1%が中立を守るべきだとし、一方、米国を支持すべきだという世論は35.5%、中国を支持すべきだという世論は1.7%に過ぎなかった。しかし、2013年の調査では、中立を守るべきだという世論が51.3%と10パーセントポイント以上減少し、逆に米国を支持すべきだという世論は45.6%と増加した。北朝鮮の核の脅威が可視化されるにつれて、より確固たる安保同盟の必要性が増した結果と考えられる。
一方、中日間に深刻な対立が発生した場合、[図6]のように、中立を守るべきだという世論が78.7%で、2011年の調査での83.0%に比べてやや低いものの、中立を守るべきだという立場が圧倒的である。ただし、中国を支持すべきだという世論は2011年の12.5%から2013年の18.0%へとやや上昇した一方、日本を支持すべきだという世論は2011年の3.7%、2013年の3.3%と大きな変化がなかった。かつて高まった中国代替論が弱まり、中国に対する微温的な態度が維持されており、日本に対しては冷淡な態度が維持されていることから、米中対立の場合とは異なり、中立的な態度が維持されている理由と考えられる。
[図5] 米中深刻な対立時の韓国の対応(%) [図6] 中日深刻な対立時の韓国の対応(%)
データ:EAI・ARI 韓国国民認識調査(2011.8)、2013 政治安保意識調査(2013.4)
北朝鮮の急変事態時に米国の介入に肯定的 50.4%、中国の介入に肯定的 12.8%
一方、北朝鮮内部の深刻な体制危機時に周辺強国の介入に対する態度は、当該国に対する国民の信頼感を象徴的に表現する指標である。朝鮮半島の分断に対する外部勢力の責任論と警戒心が少なくない韓国において、北朝鮮内部で急変事態が発生した際に、当該国の介入に対して友好的な態度を持つということは、それだけ強い信頼感を意味するからである。[図7]を見ると、北朝鮮内部の体制危機時に米国の介入については、2011年の調査で38.8%が肯定的だと答え、29.4%が中立的な回答、31.5%が否定的だと答えたが、2013年の調査では米国の介入に対して50.4%が肯定的、25.7%が中立的な回答、否定的という回答は23.7%に過ぎなかった。米国介入に対する肯定的な認識が急増した。一方、中国の場合、2011年の調査で北朝鮮内部の動揺時に介入することについて肯定的だという回答が12.1%、2013年も12.8%の水準と非常に低かった。
[図7] 北朝鮮急変事態時の米国の介入(%) [図8] 北朝鮮急変事態時の中国の介入(%)
データ:EAI・ARI 韓国国民認識調査(2011.8)、2013 政治安保意識調査(2013.4)
Ⅲ. 安保危機と北朝鮮・統一認識
北朝鮮核問題の解決策:外交的解決が優勢の中、対北制裁世論が上昇
北朝鮮の核武装が現実的に確認されるにつれて、北朝鮮核問題の解決策として推進されてきた米朝対話や6者会談のような外交的解決策への不信を増幅させた。1994年のジュネーブ合意を導いた米朝対話は、2004年まで国民に最善の解決策として認識されてきたが、その後、米朝だけでなく、韓国と周辺利害関係国が含まれる6者会談方式に取って代わられた。2006年の調査で6者会談方式を好むという回答が73.4%、米朝対話を挙げた回答は12.1%と大きく急減し、南北間の緊張と対立を高める可能性のある対北制裁や軍事措置への選好は少数意見に過ぎなかった。
しかし、その後2度の北朝鮮核実験と天安門・延坪島事件を経て、6者会談方式の外交的解決策への不信も増え、2011年の調査では58.6%減少し、対北朝鮮経済制裁方式を好むという回答が23.8%増加した。米朝会談を好むという回答は9.4%であり、少数ではあるが軍事措置を取るべきだという回答も2000年代半ばまでは2~3%に過ぎなかったが、2011年の調査では7.5%に増加し、依然として対話や外交的解決策を固守する世論が多数を占めると言える。しかし、制裁や軍事措置など、より強力な対応を求める世論が増えているのも事実である。2013年の調査で、このような傾向は強化されている。6者会談式の外交解決策を挙げた回答が51.3%で持続的な下落傾向を見せ、米朝対話は12.8%である一方、対北朝鮮経済制裁を挙げた回答は28.0%、軍事措置を挙げた回答が7.6%となった。
[図9] 望ましい北朝鮮核問題解決方式(%)
データ:EAI・CCGA Global Views(2004.7; 2006.7)、EAI・ARI韓国国民認識調査(2011.8)、2013 政治安保意識調査(2013.4)
北朝鮮体制の見通し:短期的には崩壊しない 69.7%、持続する 17.4%、間もなく崩壊する 14.5%
2011年12月の金正日委員長の死去後、登場した金正恩北朝鮮体制については、短期的には崩壊するとは見られていない。この態度は、金正日体制期に実施された2004年、2010年の2回の調査でも確認されている。2004年の調査で、北朝鮮が数年内に崩壊するという回答は7.2%、今後も維持され続けるという回答が18.7%であり、結局崩壊はするだろうが短期的には崩壊しないだろうという回答が74.1%であった。2011年の金正日委員長の死去前に実施した調査でも、短期的には崩壊するという回答は9.1%、維持され続けるという回答が15.9%、相当期間維持されるだろうという見通しが69.5%であった。金正恩体制初期である今回実施した調査では、短期的には崩壊するという回答が14.5%で、2004年と比較すると約2倍に増加したのは事実だが、依然として相当期間持続するという回答が69.7%で、急激な北朝鮮崩壊論には同意しないことが示された。1994年の金日成主席死去直後、韓国社会では北朝鮮早期崩壊論が予測されたが、2011年まで体制維持が続いたことで、北朝鮮早期崩壊論への信頼が大きく低下した結果と考えられる。
[図10] 北朝鮮体制の持続性に対する評価(%)
データ:EAI・CCGA Global Views(2004.7)、EAI・ARI韓国国民認識調査(2011.8)、2013 政治安保意識調査(2013.4)
統一認識:迅速推進論11.5%、速度調整論39.4%、待機論31.7%、不要17.5%
- 20代に統一の必要なし28.6%、急ぐ必要なし26.9%
統一に対する認識においても、統一に対する否定的な世論が強化された。統一を早急に推進すべきだとする迅速推進論や、統一が不要だとする極端な認識は少数世論であり、これまで2000年代中盤までは速度調整は必要だが統一を推進すべきだとする慎重推進論が多数世論であったが、天安門事件以降実施した2010年の調査や今回の調査で、速度を調整して慎重に推進すべきだという立場が持続的に下落し、代わりに急ぐ必要はないという消極的な反対世論が増加している。
注目すべきは、やはり世代別に統一に対する態度に温度差があるという点である。特に20代で「わざわざ統一する必要はない」という意見が28.6%にもなり、30代では19.5%となった。統一を急ぐ必要はないという意見まで合わせると、20代の55.5%、30代の59.4%が統一を急ぐ必要はない、あるいはする必要はないと答えたことになる。若い世代で統一の当為性が大きく弱いことがわかる。一方、わざわざ統一する必要はないという意見は40代で15.1%、50代で12.6%、60代以上で12.6%と相対的に低かった。政党支持別に見ると、セヌリ党支持層が共に民主党支持層に比べて統一に対する消極的な態度が強いことが示された。ただし、統一問題で最も声を上げてきた統合進歩党支持層で統一する必要はないという意見が25.0%にもなり異例だが、これは20~30代の若い世代支持層が多い結果と解釈される。
[図11] 韓国の統一に対する意識(%)
データ:国防大学校一般国民安保意識調査(2000-2003)、EAI‧CCGA Global Views(2004.7)、韓国人の政治安保意識調査(2013.4)
[図12] 世代別統一に対する意識(%)
データ:韓国人の政治安保意識調査(2013.4)
[図13] 政党支持別統一に対する意識
データ:韓国人の政治安保意識調査(2013.4)
Ⅳ. 安保危機と国内政治:安保集結効果の経路分析
1. 安保集結効果(Rally-Round-the-Flag Effect):大統領支持率60.3%、セヌリ党支持46.2%
就任初期、既存の調査機関の調査結果によれば50%台(中立的尺度を含む調査では40%台)に過ぎなかった大統領支持率が、安保危機を経て4月の調査では60.3%まで上昇した。政党支持率も、与党であるセヌリ党の支持率が過半数に迫る46.2%、民主統合党の支持率が23.9%と倍増した。外部の安保脅威が発生した場合、大統領と与党への支持が集結する、いわゆる「安保集結効果(rally round the flag effect)」と分析される。しかし、安保集結効果が安保危機状況が発生すれば自然に生じる現象と見るべきか、国民の安保不安に対して適切な対応を適時に展開した時に生じる条件付き現象なのかは疑問である。
[図14] 北朝鮮の核実験後4月の政党支持率および大統領国政支持率(%)
データ:韓国人の政治安保意識調査(2013.4)
2. 安保集結効果:安保不安感の直接的な効果ではない
今回の調査結果を見ると、いわゆる大統領と与党を中心に政治的支持が集結する安保集結効果は、安保不安要因が発生する際に自然に現れる現象ではないことがわかる。もし安保集結効果が安保不安の直接的な効果であるならば、個人的なレベルで安保不安感が高いほど、大統領あるいは政党支持が高く現れると予想できる。
[図15]を見ると、政党支持率と大統領支持率のいずれにおいても、個人が感じる安保不安感は政党支持率や大統領支持率と直接的な相関関係が見られない。政党支持において、安保状況が安定していると見る層ではセヌリ党支持が45.4%、不安定だと見る層では47.1%であり、民主党支持は安定していると見る層で29.6%、不安定だと見る層で22.3%であった。不安定だと感じる時にセヌリ党支持がやや高まるものの、有意な差ではない。実際にカイ二乗検定の結果、有意確率pが0.1を超え、安保体感度の違いによる政党支持の違いは統計的に有意ではなかった。国政支持率も、安定していると見る層で63.9%、不安定だと見る層で60.6%と大きな差はなかった。カイ二乗検定の結果、安保体感度の違いによる国政支持率の違いは有意ではなかった(p>0.1)。
では、現在の高い国政支持率と与党支持率に安保状況はどのように影響しているのだろうか。調査結果を分析すると、安保不安感が直接的に与党と大統領支持率の上昇要因として作用するのではなく、安保問題に対する態度変化を誘発し、こうした態度変化が既存のイデオロギー的、政治的亀裂の弱化を媒介として、与党と大統領支持の上昇につながるものと見られる。
第3次核実験および北朝鮮の戦争威嚇によって浮上した2013年の安保危機状況は、保守層の結集だけでなく、中道層、さらには進歩層でさえも、韓米同盟に対する支持を強化させた。また、長期的には北朝鮮との対話と協力を優先すべきだという立場が多数を占めているものの(チョン・ハヌル 2013a)、今回の調査のように短期的には対北朝鮮支援を縮小または中断すべきだという世論が上昇している。参考までに、今回の調査で保守層における対北朝鮮支援の縮小・中断すべきだという世論は52.4%、進歩層では46.9%であり、少なくとも一般国民レベルでは、過去のように保守=対北強硬、進歩=対北融和という二分法的な境界線は大きく弱まっている(チョン・ハヌル 2013b)。詳細については、チョン・ハヌルの「安保不感症か?安保意識の変化か?」第2013-02号(2013.4.29)および「安保イシューはイデオロギー的争点か?イシュー特性で見た韓国人の安保認識変化」第2013-03号(2013.5.23)を参照のこと。
すなわち、短期的な安保危機状況において韓米同盟への支持が強化され、北朝鮮に対する対北朝鮮支援への否定的な認識が拡散している。これは進歩層と中道層を中心に韓米同盟強化を支持し、対北朝鮮支援への否定的な態度が増加していることを意味し、彼らが与党であるセヌリ党を支持し、朴槿恵(パク・クネ)大統領支持へと移行する経路を通じて安保集結効果が現れると見ることができる。
[図15] 安保体感度別政党支持および国政支持(%)
データ:韓国人の政治安保意識調査(2013.4)
3. 改宗効果と安保集結
進歩的な韓米同盟論者の支持離脱、中道的な同盟論者による与党支持への説得
実際に[図16]を見ると、保守層では韓米同盟に対する立場の違いに関わらず、セヌリ党支持が65.2%から70.4%まで一様に現れているという点で、韓米同盟に対する態度は政党支持に大きく作用しない。しかし、中道層と進歩層では、韓米同盟に対する態度如何によって政党支持パターンが異なっている。まず、中道層において、望ましい韓米関係として自主的な態度を強調する層ではセヌリ党支持率が37.3%、民主党支持率が29.4%であったが、韓米関係が現水準を維持する線で管理すべきだと見る層ではセヌリ党支持率が35.9%、民主党支持率が22.8%と、格差が広がっている。
しかし、イデオロギー的な中道層で韓米同盟を強化すべきだという回答層では、セヌリ党支持率が44.1%、民主党支持率が16.0%と、明確にセヌリ党支持へと結集する様相を見せる。一方、進歩層では韓米関係に対する態度が民主党支持の有無には大きく作用しないが、セヌリ党支持率には相当な影響を及ぼしている。
進歩的な性向の有権者の中で、自主外交を強調する層では民主統合党が47.5%、セヌリ党支持率が16.9%と、反セヌリ党性向を示しており、韓米関係の現状維持を主張する層でも民主党支持が44.1%、セヌリ党支持が11.8%と、大きな差はない。しかし、イデオロギー的な進歩層で韓米同盟を強調する、いわゆる「進歩的韓米同盟主義者」においては、民主統合党支持率が42.7%とやや減少し、セヌリ党支持率は26.1%まで上昇する。韓米同盟に対する態度は保守層では大きく影響しないものの、少なくとも中道層と進歩層で増加した韓米同盟強化論者を中心に、既存の民主党支持から離れてセヌリ党支持へと移行する、いわゆる改宗(conversion)効果をもたらしうることを示唆する結果である。
[図16] 韓米同盟態度によるイデオロギー性向別政党支持変化
データ:韓国人の政治安保意識調査(2013.4)
進歩的な対北朝鮮支援批判論者の支持離脱、中道的な反北朝鮮性向有権者のセヌリ党結集効果
対北朝鮮支援イシューも同様の効果を示している。[図17]を見ると、対北朝鮮支援イシューは韓米同盟イシューとは異なり、保守層でさえも結集・離脱効果をもたらすものと見られる。同じ保守層であっても、対北朝鮮支援に否定的な回答層ではセヌリ党支持率が74.2%にも達する一方、対北朝鮮支援を拡大・維持すべきだという層では63.3%と、温度差を確認できる。しかし、中道層と進歩層では、韓米同盟イシューと同様に、対北朝鮮支援イシューに対する態度が政党支持に及ぼす影響力がより大きくなっていることがわかる(傾きがより急である)。
まず、同じイデオロギー的な中道層であっても、対北朝鮮支援に否定的な回答層ではセヌリ党支持率が46.7%、民主統合党支持率が16.7%と、全体平均政党支持率よりも格差が大きく、対北朝鮮支援に肯定的な回答層ではセヌリ党支持率が33.3%、民主統合党支持率が23.9%と、両党の支持率格差が縮小する。同じ進歩層でも、進歩層の伝統的な立場のように対北朝鮮支援に肯定的な層では、逆に民主統合党支持率が48.5%、セヌリ党支持率が15.2%に留まる一方、伝統的な進歩層とは異なり、対北朝鮮支援に否定的な進歩層では民主統合党支持率が39.3%、セヌリ党支持率が29.1%と、その格差が大きく縮小している。
より詳細な検証を要する問題であるが、安保危機状況における安保イシュー別の態度の違いは、保守層における現政権与党支持の強化(reinforcing)効果、中道層における現政権与党支持の説得(persuasion)効果、進歩層における進歩性向の政党ではなく保守政権与党への支持への改宗(conversion)効果を媒介することで、現政権与党の支持、大統領国政支持基盤を強化していることを強く示唆する結果である。
特に、現在の安保イシュー態度のトレンドが、韓米同盟を強調し、長期的には北朝鮮との交流協力を維持しつつも、短期的には対北朝鮮強硬対応への要求が高まっている現在の状況を考慮すれば、現在の朴槿恵大統領とセヌリ党の高い支持率は、単純な安保危機の産物ではなく、こうした世論の要求に合致するポジショニングの産物と見ることができる。したがって、単純に安保危機感が消え、戦時局面だけが転換されれば、政党支持率を回復し、朴大統領の支持率が自然に下落すると見るのは妥当ではない見通しである。相対的に南北関係の変化によって大統領とセヌリ党の政策ポジションは世論の変化に反応している一方、民主統合党の場合、韓米同盟や対北朝鮮支援に対する政策ポジションが固定されているという印象を与えているからである。政府与党はもちろん、民主党も安保ポジションをより国民の変化に柔軟に反応させ、国民とのコミュニケーションを強化する必要性が提起されると言える。 ■
[図17] 対北朝鮮支援態度によるイデオロギー性向別政党支持変化
データ:韓国人の政治安保意識調査(2013.4)
*この本文は韓国語で書かれた原文を AI で翻訳したものです。一部の翻訳やニュアンスに誤りがある場合があります。